Keep on growin' !
2018年8月某日
およそひと月ぶりの出張。
今年に入ってから新しい部署への配属となり、これまでほとんど無かった出張をする事が増えた。
おかげで行ったことのない土地へも何度か訪れる事が出来た。 仕事とはいえなかなか楽しく刺激的だ。いつも同行する役員の方の人柄が良いのも功を奏している。
今日は不定期に行なっている、社内研修の講師として関西方面に赴く。この出張も数えるところ10回は超えただろうか。
早朝に自宅を出て、始発の電車と高速バスを乗り継ぐ道程にも慣れたものだ。
夏休みももう終わりに近づいた週末という事もあり、バスの待合室はいつも以上に混み合った印象を受ける。同じバスの乗客も十代以下の子供が多い。バスの終点が関西で最も有名なレジャー施設という事もあるのだろう。浮かれた楽しい雰囲気が伝わってくる。
俺の住むところは四国のとある地方都市。
人口40万人程の中核市だ。
のどかな田舎街で自然も多くてそこそこに物流も発展しており、暮らすには不便を感じない程度の環境と言える。 とはいえ、月に一回程度の出張で都市部へ行くとやはり田舎の物足りなさを感じる事がある。
今回訪れる都市は人口150万を超える政令指定都市の一つである。
目的地のターミナルに到着し、バスを降りると行き交う人や車の多さに都会の空気感を感じる事ができる。それだけで気分は高揚し、日常から抜け出した錯覚に陥る。
ふだん本社勤務で自宅と会社の往復だけの日々を過ごしていると、感覚は鈍り衰えていくのみだが、こうして新しい風を取り入れることで感覚はリフレッシュし、中身もアップデートされていく。 これがすごく大事なことだと思う。
強いて言えば、一年に数回は東京へ出向いて見聞を広め、大幅な自己のアップグレードを図るのが良い。
ヒトは命ある限り精神的に成長し続けるいきものだと思う。
よく妄想するのだが、仮に不老不死を手に入れたとして永遠に精神が成長し続けるとすると、果たしてヒトはどのような精神状態、価値観や考え方になっていくのだろうか。
何千年、何万年と生き続けていくうちに世の理を理解し、所謂「悟りをひらく」状態に行き着くのだろうか。それともそれすら超越していわば「無の境地」に辿り着くのだろうか。仮にそうだとすると、無の先には何が見えるのだろう。精神が成長し続けるとしても無の境地の先に行き着くまでその成長を続けるのだろうか。それともそこで成長は止まってしまうのだろうか。
成長することも衰退することもなく、死滅することもない。
もはやそれは生き物と言えるだろうか。ただの有機物でしかないのではないだろうか。
形のあるものはすべていずれは無に還る、というのが世の理だとすればそれを超越する不老不死は、理すらも超越しまったく別次元の世界へと昇華していくのだろうか。
なんの生産性もないただの妄想もここまでくると病気じみてくる。
そんなことを考えながら、通勤特急が来るのを駅のホームで待っている。
今日は台風一過で連日の酷暑が嘘のように、爽やかな残暑となった。
今回の出張を通しておれはどんな新しい風を取り入れることができるだろう。
Keep on growin'!!!